先生諸君、おつかれ
今回は学習指導要領解説の説明だ
・学習指導要領を読む暇ない!
・何言ってるかよく分からない!
という人のために、「ざっくりポイントを絞って」「堅苦しい言葉を使わずに」解説します。
初心者や経験浅めで算数を勉強したい人にもとっかかりとしておすすめ。
とりあえず以下のマンガだけでも読んでってください。



算数科の目標
さて解説します。
目標を引用するぞ
長いが後で解説するから目を通してくれ
数学的な見方考え方を働かせ、数学的活動を通して、数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)数量や図形などについての基礎的・基本的な概念や性質などを理解するとともに、日常の事象を数理的に処理する技能を身に付けるようにする(知識技能)
(2)日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考察する力、基礎的・基本的な数量や図形の性質などを見出し統合的・発展的に考察する力、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表したり目的に応じて柔軟に表したりする力を養う。(思考判断表現)
(3)数学的活動の楽しさや数学のよさに気付き、学習を振り返ってよりよく問題解決をしようとする態度、算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。(学びに向かう力)
学習指導要領解説 算数編p21、22( )内は筆者によるもの
長いから一言でまとめよう。
すっごく簡単に言うと
「数や図形に目をつけて論理的に考える力をつけようね」ということだ。
シンプルイズベスト。
これぞ、簡潔・明瞭・的確に表しているといえるだろう。
冗談はさておき、詳しくは以降の項目で説明しよう
数学的な見方、考え方とは
事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、根拠を基に筋道を立てて考え、統合的・発展的に考えること
「事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え」…数学的な見方
例
三角形(事象)を
直線の数に着目して
3本の直線で囲まれた形(三角形の定義)と捉える
つまり、事象の定義(きまり)や性質を捉えるのが数学的な見方。
「根拠を基に筋道を立てて考え、統合的・発展的に考える」…数学的な考え方
例
2,4,6…次の数は?
どれも2ずつ増えているから(根拠、筋道)
8だな。
2,4,6,8のような数を偶数という(2で割り切れるという共通点で統合する)
統合とはいくつかのものをまとめることだと思っておこう。
発展的、は言葉の通りだ。
問題の条件を変えて発展問題にするのは説明不要だろう。
根拠を基に筋道を立てて考えるというのは、帰納的、類推的、演繹的に考えること。
帰納的な考えとは
共通点を見つけてきまりを見つけること
例えば、直角三角形(30°+60°+90=180°)、二等辺三角形(45°+45°+90°=180°)、正三角形(60×3=180°)
「3つの角をたすと180°になるらしい」というきまりが見つかるな。
共通点を探してきまりを見つけることを帰納的な考え方という。
帰納的な考えでは、見つけたきまりを別の場合(今回なら名前のない三角形)でも確かめることが重要だ。そうして、どんな場合でもきまりが成り立つことを確かにする。
類推的な考えとは
似ている学習から考えること
例えば、2けた+2けたは位をそろえて計算したから、3けた+3けたも同じようにやればいいだろう、という考えだ。
演繹的な考えとは
わかっていることをもとに考えること
たとえば、四角形の内角の和を求めるときに、「三角形の内角の和が180°」であることをもとに、四角形を1本の対角線で2つの三角形に分けて考える。
わかっていることをもとにすると、四角形の4つの角度を測らなくても、内角の和が360°であることが分かるよね。
数学的な見方考え方について詳しく知りたい人は、以下の記事も読んでくれ。
数学的活動を通してとは
学習指導要領解説(p23)には
事象を数理的に捉えて、算数の問題を見いだし、問題を自立的、協働的に解決する過程を遂行すること
と書かれている。
…もうちょっと具体的にしてくれよという声が聞こえるので。
OK、例を挙げよう。
同じサイズの紙が積んである。何枚あるか簡単に数えるには?(算数の問題)
↓
1枚の重さと全部の重さを調べてわればよさそう(見通し)
↓
行動
↓
うまくいったぞ(振り返る)
要は問題解決のプロセスってことだな。
数学的に考える資質・能力とは
先ほどの算数科の目標の中の(1)〜(3)が資質・能力のことだ。

簡単に言うと、
教科書の内容を理解しようね(知識技能)
論理的に考える基礎を身につけようね(思考判断表現)
算数を楽しんで問題解決する態度を育てようね(学びに向かう力)
ちゃんと知りたい人は赤枠内をよーく読んでください。
算数の問題発見・解決の流れ
算数の問題は大きく2つ
①日常の問題
②算数の問題
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(資料1)学習指導要領解説 算数編p8
1〜3年生は主に日常の問題を扱う。4年生以降は数学の事象(つまり算数の問題)が増えてくると思っておくと良い。
日常の問題というのは
例
パイを分けよう(日常の問題)
↓
パイが12個あります。3人で同じ数ずつ分けると一人分は何個ですか。(算数の問題にする)
↓
12÷3=4
↓
分けるときはわり算をすればよい(日常で活用)
それに対して算数の問題は
例
1を3個、0.1を5個集めた数はなんですか。
1°とはなにか?
といったように、数や図形の概念の学習だったり
2,4,6,8を偶数、1,3,5,7を奇数という
かけ算の意味は整数、小数、分数どれも「倍」という見方で考えられる
といったように体系化(まとめて分かりやすく)する学習だ。
つまり、1〜3年では日常の問題を算数で解決できるようにし、4〜6年では既習事項を統合(まとめる)していくことになる。
日常の具体的な問題から段々と抽象的になるので、ぼくのように抽象的に考えるのが苦手な人間は4年生あたりから分からないことが増えてくるのだ。
学習内容
6年間で5つの内容を学習する。
【1〜3年】
A 数と計算
B図形
C測定
Dデータの活用
【4〜6年】
A数と計算
B図形
C変化と関係
Dデータの活用
C測定は
長さ、かさ、重さ
どれも日常の問題だ。
高学年になると
C変化と関係
に変わる
算数の活動で気をつけること
学習指導要領解説(p20)には以下のように書かれている。
・活動を楽しめる機会を作ってね。
・問題解決の方法を理解するだけじゃなく、自分で問題を見つけて解決するプロセスを作ってね。
・具体物、図、数、式、表、グラフを関連させる指導をしてね。
・考えを伝え合ったり、振り返りでできたことを実感させたりしてね。
授業内容を考えるときに意識するといいな
終わりに
ひとまずここまで。
今回は指導要領を読みたくない人向けに、ポイントを絞って解説しました。
少しでも理解を深めてもらえたら嬉しいぞ

